ドイツ側から見よう
いわゆる水際の上陸作戦「だけ」に興味がある人には???ですが、名作だけに唸らせる話運びです。
水際作戦は連合軍側から見る視点で描かれる方が多いようです。
コーネリアス・ライアンの「史上最大の作戦」
R・W・トンプソンの「Dデイ ノルマンジー上陸作戦」
ウィル・ファウラーの「史上最大の作戦の記録」
などは「上陸」を中心に扱います。
この本はどちらかと云うと上陸後の連合軍と、ドイツ軍がどう向かいあうかという内容ですね。
Eric Lefe'vreの「パンツァーズ・イン・ノルマンディ」なども同じ展開です。
まじめな戦史
映画でもおなじみのノルマンディー上陸作戦。本書で印象に残ったのは、2点。 第一に、上陸部隊にどう対処するか、については「水際で叩くべし」と言うロンメルに対し、「平原において叩くべし」というルントシュテットほかの意見が対立していた由。 事後的に考えると、水際説の方が適切であったろう。ただ、海岸線は長くどこを守れば良いのか、すべて守る能力があるか、などは難しい問題だったろう。そういう意味では、平原での戦い説にも一定の説得力はあるのかもしれないと思った。 第二点は、ノルマンディーが「陽動作戦」で、本命は海峡の最も狭い箇所に違いないと言う判断である。この誤判断のためにドイツ側の機甲師団が有効に機能しなかったと言う話しは良く聞く。映画でも、クルトユルゲン!スがフンガイして「ナポレオン」の封を切る場面があった。 この点、そもそもなぜノルマンディー海岸が選ばれたのかについて、本書を読んでもよくわからない。が、おそらく、船団の出発地であるポーツマス周辺の諸港から近いといった理由ではないかと思うが、確信はない。 くわえて本書では、制空権の果たす重要性についても再三言及されており、興味深かった。「ヤーボ(連合軍機)」という言葉が盛んに登場する。
いいものはいい…
ドイツの作家、パウル・カレル氏によるノルマンディ上陸作戦に関するドキュメンタリー。
恐らく、軍事に関してのマニアであれば、本書に関しての説明の用を要しないだろう。
しかし、一般の人も本書を手にとって読んでみて損はない。一般の人は、例えば、ノルマンディ上陸作戦についての知識は、歴史の年表や世界史地図で地名を見た、あるいは映画の『史上最大の作戦』がビデオであったから、たまたま借りて観た、というくらいのものだろうか。
ところが、ノルマンディ上陸作戦ひとつで戦争が終局に向かったわけではない。
上陸からほぼ二ヶ月間にわたって、ノルマンディ地方の上陸橋頭堡の地域を巡って、連合軍とドイツ軍の死闘が、激戦が繰り広げられたのだ。
その中で起こったさまざまなエピソード、軍事的な行動
…どのように、連合軍が勝利を収め、どのようにドイツ軍が敗北していったのか。
その過程を知るには、本書がもっとも適しているだろう。
『史上最大の作戦』を読んだり、観たりした人は、その後で、ぜひ、本書も読んでみて欲しい。
中央公論社
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