オランダ史から学ぶ
日本は江戸時代の昔からオランダと交流がありながら、その歴史はほとんど知られていない。この本ではハンザ同盟との戦いに勝って東ヨーロッパ貿易の覇権を握ってから、スペインとの独立戦争とその海上覇権への挑戦を経て繁栄を築き上げ、その後浅慮からイギリスを敵に回してしまって衰退していく過程を、史実に基づきながら興味深く飽きさせないかなり上等の読み物に仕上げている。
著者は最後にオランダの姿に日本をだぶらせて、「日本は海洋を支配するアングロ・サクソン世界と協調していくほかはない、というのが開国以来の日本の宿命」という持論で結論づける。しかしアメリカが何をしようが協調どころか隷属しているといっていい態の国柄ではたしていいのかという問題が起こってくる。アンゴロ・サクソン万才の視点で書かれている点は注意しておく必要がある。
オランダ史を簡単にまとめた数少ない本。
オランダの歴史は日本ではあまり知られていない。 私にとっては日本史の江戸時代に出てくる「外国」であり、幕末から明治にかけて急速にフェードアウトしていったところが、なんとなく悲哀を感じさせた。実にすっきりとまとまっているのみならず、日本への示唆にも富み、オランダと日本との共通点が浮かんでくる。 しかし、実によく戦争したものだ。問題は、引き際のような気もするが小国においてもかなりの期間台頭することは可能で、それが故に勘違いしがちであるが、国力のある国はやはり地力というか底力が違うものだ。 岡崎久彦には興味を惹かれたが、最近の著書は気孔がどうしたとか言っていて、こりゃあかんと思った。いや問題なのは気孔ではなくて、素人が、それ以外で名を売った人間がその余勢を駆って、思いつきのような本を出すことだ。評価しない人も多いが、糸井重里を見るがいい。独特の嗅覚で、説得力の必要な分野においては必ず共著の形をとって箔をつけている。特に論客度の低い人間とよく組んで自分のブランド力を展開している。 ともかくこの本はまだ大丈夫。
日本と似てる?
この本は1990年に雑誌に連載していたものを、1991年の6月に一冊にまとめて出版したものらしい。副題に「オランダ史に日本が見える」とある。日本のバブル経済崩壊の始まりが1991年後半らしいから、この本が書かれた時点では日本経済も元気だったようだ。17世紀前半のオランダの抜きん出た繁栄が近隣の国々の嫉妬を呼び戦争になったとし、日本も同じ道を辿らないとも限らないと警告している。このレビューを書いている今は、日本の行き過ぎかと心配するぐらいの繁栄も歴史になりつつある2004年に入ったばかり、イラク戦争後のイラクへ自衛隊が派遣されることが決定し、調査のための先遣隊がイラクから戻ってきたばかりの時だ。序章に、『自分中心に、「戦争はいやだ」「何としても戦争は避けねばならない」というセンチメンタルな議論や、「戦争はしてならない」という国際法的な議論ばかりして、他の国から見れば戦争は差し引き得になるという勘定も成立する一つのビジネスでもある、という事実に眼をつぶっていた』、とある。現在の自衛隊派遣についてのマスコミ等の反応の様子を見ると、センチメンタルという単語は今の日本にも当てはまる気がする。都市を城壁で囲んで自衛し、都市と国家は対立し得ると思っている人々の自治と国家に対する意識は現代の日本人のものとはかなりの溝がある。でも、貧欲な商人の行動は商売をしている人には共感できるかもしれない。要するに、17世紀のオランダの置かれている状況と現在の日本の状況は似ているのかどうかは微妙だ。でも、17世紀のオランダに見られる、なんというか無様さというか醜さはかなり興味深いし、他人事に思えない。
オランダの繁栄は何故起こったのかがよく分かる本
日本の歴史の中で中国を除けば最も交流の深かった国として興味深いオランダですが、繁栄の中心は17世紀。その繁栄がなぜダメになってしまったのか、今日の自信を失った日本にとっての先輩格と思えるほどです。この本を読むとイギリス、フランス、スペインなど近隣の国々との利害関係を経済優先で必死に乗り切ろうとする姿が事の成功不成功は別として大変興味深い。また、オランダ史の中で東インド会社に興味が広がる点も面白い。
文藝春秋
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